「なんかあいつのこと、教育してやりたくなるんだよね。俺、教育学部出身だからさ」

彼とは友だちになれる気がする。

ちょっと早めに上がって、カッパでモツ焼きと黒ビール。レバ刺しを頼むと、焼き用に串に刺してあるものをそのままタレにつけ、塩を振って出してくれる。あまじょっぱくて、とろっとしてて、とてもうまい。ここのお店のおかみさんはいつも愛想が良くて、ひとりでカウンターの十数人を相手にしているのに動作が機敏で、なおかつ余裕がある。静かに飲んでる常連に、自然に声を掛ける。送り出すときは「気をつけてね、おやすみなさい」なんて言ってくれる。

店を出て、天亀そばに行く。狭くてきれいとは言えないスタンドそばだけど、何故か僕はよくここに来る。もりそばをすすりながら、ラジオを聞く。店員のおじさんが、ひといきつくときに飲むのは必ず黄色い炭酸飲料。気に入ってるのか、気になっている。いつもありがとうございます、と声を掛けられ、僕はたぶん、かすかに笑顔になる。

忙しく働いているなかで笑顔を作っていくというのはなかなか難しいことで、僕はわりとそういうのが苦手だから、近寄りがたいとか、何を考えているかいまいちつかみづらいとか言われることがある。自然に笑顔にしてられるようにはなれそうもないから、彼らが笑顔を作れないときにこそ、僕がすこし、たとえはりついたようなものであっても、笑顔になったら世の中の釣り合いがとれるんじゃないかな、なんて思う。

家に帰って、ラジオを押入れから取り出す。祖母が病室で使っていた、僕が何度か修理した、なんの変哲も無いスピーカーつきのラジオ。ACアダプターが無くなっていたので、代わりになるものをストックから見つけ出してつないでみると、思ったよりまともに音が鳴った。テレビを全く見なくなって久しいけど、ラジオだったら流しっぱなしにしておけるし、聞きたいときに意識に入れればいいから良いんじゃないかなと考え、しばらく鳴らし続けてみることにする。

それにしても、このご時世でもまだラジオショッピングってやってるんだね。見えないものを声だけで伝えて、それで購買欲をそそるってものすごいことだ。叩き売りより高度なんじゃないだろうか。しかも扱ってるものが真珠のネックレスだったりする。驚異的なプレゼンテーション。

昔書いたものをひっぱりだそうとして、どこから手をつけようか考え中。よくもまあこんなに無節操に書いたものだなあ。

 

みたいなね、いま見たらその幕間の意味が薄れてて用を成さないようなものを、どう載せなおしたらいいのかを考えてます。

magi <info(at)enil.info>